「ミッドセンチュリー」と「北欧インテリア」は、どちらも人気のあるインテリアスタイルですが、違いを正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。どちらもシンプルで洗練されたデザインを持つ一方で、歴史的背景やデザインの特徴には大きな違いがあります。「ミッドセンチュリーと北欧インテリアの違いを知りたい」「どっちが自分に合っているのか分からない」こんな疑問をお持ちの方に向けて、本記事ではミッドセンチュリーと北欧デザインの違いをわかりやすく解説します。実際にPraemioが手がけたお客様宅のインテリア実例もご紹介するので、どちらのスタイルがご自身にぴったりか検討しながらご覧いただけると幸いです。関連記事北欧系インテリアにコーディネートする方法は?プロ目線で徹底解説ミッドセンチュリーとは?弊社実例ミッドセンチュリーと北欧の違いを知るために、まずはそれぞれの歴史や特徴について知っておきましょう。ミッドセンチュリーの歴史「ミッドセンチュリー(Mid-Century Modern)」とは、1940年代〜1960年代にかけて発展したモダンデザインのスタイルです。第二次世界大戦後の経済成長とともに、アメリカを中心に「機能的で美しいデザイン」が求められるようになり、ミッドセンチュリーが誕生しました。このスタイルの基盤となったのは、バウハウス(Bauhaus)の理念や、ヨーロッパからアメリカへ移住したデザイナーたちの影響です。戦後の新しいライフスタイルに合わせ、手頃な価格で生産しやすいデザインが主流となりました。〜バウハウス(Bauhaus)とは?〜1919年にドイツで設立された美術・デザイン・建築の学校で、現代のモダンデザインの原点とされる存在です。ミッドセンチュリーの特徴弊社実例ミッドセンチュリーのインテリアには、下記のような特徴があります。直線的・有機的なフォルム大胆な色使いプラスチックや金属などの新素材機能性とデザインの融合開放的な空間設計直線的・有機的なフォルムミッドセンチュリーのデザインは、直線的なシンプルな形状と、流れるような曲線を融合させたフォルムが特徴です。特に、成形プライウッドやプラスチックを使った家具では、体にフィットする有機的なデザインが多く採用されました。大胆な色使い弊社実例:色と暮らす、我が家ミッドセンチュリーでは、落ち着いた木の色に加え、オレンジ、ターコイズブルー、マスタードイエローなどのビビッドなカラーがアクセントとして使われました。これにより、レトロで温かみのある雰囲気を演出し、遊び心のある空間に仕上げられています。プラスチックや金属などの新素材戦後の技術革新により、木材に加え、成形プラスチック、スチール、ガラスなどの新素材が積極的に取り入れられました。これにより、軽量かつ丈夫な家具が生まれ、デザインの自由度も広がりました。特にチャールズ&レイ・イームズ夫妻がデザインしたイームズチェアなどは、プラスチックの可能性を活かした代表例です。機能性とデザインの融合ミッドセンチュリーでは、「美しさ」と「実用性」を両立させることが重視されました。シンプルな構造の中にも、快適性や使いやすさを考慮したデザインが多く、例えば、収納機能を兼ね備えた家具や、快適な座り心地を追求した椅子などが数多く誕生しました。開放的な空間設計住宅デザインにおいては、大きな窓やオープンフロアが特徴です。室内と屋外の境界を曖昧にし、自然とのつながりを感じさせる設計が多く見られます。これにより、限られた空間でも広がりを感じられ、開放感のある居住空間が生まれました。北欧とは?弊社実例北欧デザインの歴史北欧デザイン(Scandinavian Design)は、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、アイスランドなどの北欧諸国で発展したスタイルです。特に、1930年代から1950年代にかけてモダンデザインと融合し、世界的に広がりました。「シンプルで機能的でありながら、温かみのあるデザイン」が特徴で、寒冷な気候に適した住まいづくりの考え方から生まれました。北欧インテリアの特徴弊社実例ほっと安らげるあたたかな雰囲気の北欧のインテリア。具体的には、下記のような特徴が挙げられます。シンプル・ミニマル自然素材を活かすナチュラルカラー+アースカラー光を大切にする長く愛されるデザインシンプル・ミニマル北欧デザインの基本は「シンプルで飽きのこないデザイン」です。過剰な装飾を避け、直線的で機能的なフォルムが中心。流行に左右されにくく、長く使い続けられることを重視しています。デザインの美しさだけでなく、実用性や快適性も兼ね備えているのが特徴です。自然素材を活かす北欧デザインでは、木材や天然素材を多く使用します。特にオーク、パイン、ビーチなどの木材が人気で、温かみのある雰囲気を演出します。また、ウールやコットン、リネンなどの自然素材のファブリックを取り入れ、寒冷な気候でも快適に過ごせる工夫が施されています。ナチュラルカラー+アースカラー弊社実例:オシャレなカフェ風インテリアで新しい生活色使いは、ホワイト、ベージュ、グレーといったナチュラルカラーが基調。そこに淡いブルーやグリーン、パステルカラーをアクセントとして加え、穏やかで落ち着いた空間を作ります。派手な色はあまり使わず、自然と調和する色合いが特徴です。光を大切にする北欧では冬の日照時間が短いため、室内を明るく保つ工夫がされています。大きな窓で自然光を取り入れたり、間接照明を活用したりすることで、柔らかく温かみのある光を演出します。白を基調としたインテリアが多いのも、光を反射させて部屋を明るく見せるための工夫のひとつです。長く愛されるデザイン「一生使える家具」をコンセプトにした北欧デザインは、耐久性の高い素材とシンプルなデザインが特徴です。流行に左右されない普遍的なデザインは、長く愛用できるだけでなく、世代を超えて受け継がれることも珍しくありません。これは、サステナブルな暮らしを大切にする北欧の価値観にもつながっています。ミッドセンチュリーと北欧の違いとは?ここまでお伝えしてきたように、ミッドセンチュリーと北欧インテリアには共通点もありますが、歴史や特徴などに明確な違いがあります。ミッドセンチュリー北欧デザイン発祥地アメリカ北欧(デンマーク・スウェーデンなど)時代1940年代〜1960年代1930年代〜現在も続く特徴機能性+美しさを両立、カラフルでレトロ感があるシンプルで温かみのあるデザイン、ナチュラルカラー素材木材+プラスチック+金属木材+ウールやコットンなどの天然素材色使い落ち着いた色+アクセントカラー(オレンジ・ターコイズなど)白やアースカラーを基調デザイン(柄)抽象的な柄自然をモチーフにした柄家具のフォルム直線的なデザインと有機的な曲線を組み合わせたフォルムシンプルでありながら、曲線を取り入れたフォルム機能性使いやすさ+デザイン性実用的で長く使えることを重視ミッドセンチュリーは1940〜60年代のアメリカ発祥で、大胆な色使いと曲線的なフォルム、新素材の活用が特徴。対して北欧インテリアは、ナチュラルカラーを基調とし、シンプルで自然素材を活かしたデザインが特徴です。ミッドセンチュリーと北欧の名作家具誕生した時代や国、背景などが違うミッドセンチュリーと北欧デザイン。それぞれに世界的なデザイナーたちが手がけた、現代まで長く愛され続ける名作家具が存在します。ミッドセンチュリーの名作家具3選ミッドセンチュリー時代の家具は、直線と有機的な曲線を融合したモダンなデザインが特徴です。言わずと知れた名作家具を3つご紹介。イームズ ラウンジチェア & オットマン(Eames Lounge Chair &Ottoman)出典:HermanMillerミッド・センチュリーの代表的存在、チャールズ&レイ・イームズが1956年にデザイン。成形合板とレザーの組み合わせが特徴で、ゆったりと贅沢な座り心地を味わうことができます。シェルチェア(Eames Shell Side Chair)出典:HermanMirrorシェルチェアは同じくイームズ夫妻によって1948年にデザインされた、世界初の成形プラスチック製チェア。シンプルで美しい曲線が特徴で、体にフィットする快適な座り心地を実現しています。最初の発表から現代に渡って、アームのあるタイプやロッキングタイプなど様々なデザインが生み出されています。LC2 グランコンフォート(LC2 Grand Confort)出典:Cassina IXC.1928年にル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアンがデザインしたモダンソファ。スチールフレームに分厚いクッションを組み合わせた構造で、直線的で洗練されたデザインが特徴です。モダン建築やインテリアのアイコンとして世界的に愛され続けている名作家具です。北欧の名作家具3選シンプルで機能的でありながらも、温かみのあるデザインが特徴の北欧家具。代表的な名作家具を3つご紹介します。Yチェア(CH24 Wishbone Chair)出典:CARL HANSEN&SONデンマークの家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーが1950年に発表した。美しい木のフレームとペーパーコードの座面が特徴的なダイニングチェアです。 セブンチェア(Series 7 Chair)出典:Fritzhansenデンマークの建築家であるアルネ・ヤコブセンが1955年にデザインした、スタッキング可能な椅子。成形合板のシンプルな美しさと機能性を兼ね備え、北欧デザインの象徴として世界中で愛されています。Aalto スツール(Stool 60)出典:artek近代建築の巨匠といわれるアルヴァ・アアルトが、1933年に発表した三本脚のスツール。L字型に曲げられた木製の脚が特徴で、シンプルながらも機能的。重ねて収納でき、様々なシーンで活躍するのも魅力です。〜関連記事〜パーソナルチェアで後悔しない!購入前に知りたい選び方とおすすめ20選ミッドセンチュリーと北欧インテリアのコーディネート実例ここからはインテリアコーディネート会社Praemioが担当したお客様宅の実例をご紹介します。ミッドセンチュリーと北欧インテリアの違いをより分かりやすくご覧いただけると思うので、お部屋作りの参考にご覧ください。明るく開放感のあるミッドセンチュリーインテリアデザイン性のある照明が目を惹くリビングダイニング。ミッドセンチュリーの特徴でもあるダークブラウンの木製家具を配置し、イエローやレッドといったクッションやフラワーベースをアクセントにしています。床もダークブラウンではありますが、ラグやソファに明るいベージュカラーを選んで明るい印象をプラス。ペンダントライトやリビングテーブルにはガラス素材を選んで、抜け感のある軽やかな雰囲気のお部屋に仕上げています。オブジェやフラワーベースといったインテリア小物は、流れるような曲線を帯びたデザイン。ミッドセンチュリーの特徴をしっかりと取り入れたインテリアコーディネートになっています。モダンで落ち着きのあるミッドセンチュリーインテリア続いては、リビングと寝室が隣り合ったこちらのお部屋。デザインの異なるパーソナルチェアやモダンな照明やアートを取り入れて、ハイセンスな印象の空間にコーディネートしました。パーソナルチェアとサイドテーブルには、ガラスやスチールなどの素材を。レトロな色合いやデザインの中に、硬質な素材や直線的でモダンなデザインを取り入れるのもミッドセンチュリーの特徴です。リビングスペースの収納には、ダークブラウンの家具を選んでレトロな雰囲気に。上には抽象的なアートを飾って、一層モダンな印象をプラスしました。北欧インテリアは自然をモチーフにしたデザインが多いですが、ミッドセンチュリーインテリアの場合、こういった抽象的なデザインを取り入れるのがおすすめですよ。〜上記で紹介した実例はコチラ〜色と暮らす、我が家ハイセンス・ミッドセンチュリーブルーをアクセントにした北欧インテリアライトブラウンの木製家具をベースに、ブルー系のアクセントクロスを取り入れたリビングダイニング。ベージュやホワイトなどのナチュラルカラーをベースに、壁やソファのブルーが映えています。ペンダントライトとフロアライトの温かな灯りで、ほっとくつろげる空間に。壁面のアートは植物モチーフのものを選んで、北欧らしい雰囲気をプラスしています。木製家具以外にも、コットンなどの自然素材を取り入れているので、よりナチュラルであたたかみのある北欧インテリアになりました。柔らかな色合いでまとめた北欧インテリアこちらのリビングは、明るい色合いの木製家具にホワイトやベージュなどの淡い色合いでまとめたやさしい雰囲気ですね。先ほどの実例と同じく、フロアライトは布製シェードのもの。ナチュラルな素材感と柔らかな灯りが、北欧インテリアと相性抜群です。リビングテーブルの天板は、ホワイトテラゾー(人造石)という大理石のような美しい模様が特徴の素材。丸く優しいフォルムが全体のコーディネートととてもマッチしています。また、テレビボードは扉にラタン調のデザインが施されたものをチョイス。こういった自然素材の風合いを感じられる家具も、北欧インテリアの特徴です。〜上記で紹介した実例はコチラ〜オシャレなカフェ風インテリアで新しい生活やわらかく、優しいインテリアミッドセンチュリーと北欧、あなたに合うのは?違いを知ってインテリアを楽しもうミッドセンチュリーと北欧インテリアは、どちらも「機能性を重視したデザイン」という共通点がありますが、色使いや素材、デザインの方向性が異なります。ご自身のお好みはどちらだったでしょうか?ミッドセンチュリーが向いている人個性的なインテリアを楽しみたいレトロでポップな色合いが好き機能的でスタイリッシュな家具が好み北欧デザインが向いている人シンプルでナチュラルな空間が好き落ち着いた色合いのインテリアが好み長く使える家具を探している本記事を参考に、ぜひご自身に合ったお部屋作りを楽しんでください。