インテリアコーディネートのお仕事をしていると、お客様からよく「家具の色はバラバラでも大丈夫ですか?」というご質問を受けることがあります。たとえば、引越しのときに持ってきたダイニングテーブルの色がナチュラルカラーで、新しく欲しいチェアの色がダークブラウン...といった状況。このように、好みの家具をおきたいけれど「お部屋に統一感がなくなってしまうのでは?」と、購入をためらってしまう場面は多いのではないでしょうか。結論からお話すると、家具の色はバラバラでもおしゃれで統一感のあるお部屋をつくることはできるんです!もちろん何も考えずにコーディネートしてしまうと、チグハグなお部屋になってしまうので注意が必要ですが、ちょっとしたポイントを押さえておけば大丈夫。今回は家具の色がバラバラでも統一感を出すポイントを10選ご紹介したいと思います。家具の色がバラバラだと、どんなデメリットがある?「家具の色がバラバラでも大丈夫だろうか?」と多くの人が心配する理由は、家具の色を合わせてコーディネートするよりも失敗しやすいという懸念点があるからです。では、家具の色をバラバラにするとどんなデメリットがあるのでしょうか?①空間に統一感が生まれないまずデメリットとして挙げられるのは、やはりお部屋に統一感が生まれにくいということでしょう。インテリアの色が少ないほどコーディネートは簡単になるので、家具の色を揃えると、誰もが簡単に統一感のある空間をつくることができます。反対に、家具の色がバラバラだとコーディネートの難易度がぐんと上がり、統一感のないお部屋になってしまうというリスクがあります。②お部屋で落ち着けない「空間に統一感が生まれない」ということは、視覚的に見てチグハグな印象を与えてしまうということでもあります。お部屋が雑多な雰囲気になると「なんだか落ち着けないな...」と、心理的にも悪い影響を与えてしまいます。家具の色がバラバラでも「統一感」を意識してコーディネートすることが重要と言えますね。家具の色がバラバラでも、ポイントを押さえれば大丈夫家具の色を統一しないとデメリットが生じやすいのは事実ですが、それでもおしゃれなお部屋にすることはできるのでしょうか?冒頭でも触れたように、家具の色がバラバラでもおしゃれなお部屋にすることはできます。 実際に弊社でも素敵なお部屋のコーディネート事例がいくつもあるんです。最近は色だけでなくデザインなども敢えて統一しない「ミックススタイル」というコーディネートも人気を集めています。反対に、空間の全てを同じ色にしてしまうと、統一感があってものっぺりと印象の薄い部屋になることも...。しっかりとポイントを押さえておけば、家具の色がバラバラだからこそ個性があり、ぐっと垢抜けたお部屋に仕上げることができますよ。家具の色がバラバラでも統一感を出すポイント10選では、具体的にどんなポイントがあるのか順番に見ていきましょう。ぜひお部屋をコーディネートする際の参考にしてみてください。①主役の家具を決める1つ目のポイントは、お部屋に配置する家具の中でも主役を決めるということです。お部屋をコーディネートする際、空間の大きな面積を締める家具や、どうしても外したくないお気に入りの家具などありますよね?そういった家具を主役にして、その家具を中心にコーディネートを考えることで統一感のあるお部屋をつくることができます。たとえばリビングなら大きなソファを主役に。ソファの色がブルーであれば、カーテンは白色がいいだろうか?テーブルはナチュラルな色味が合うかな?と、主役を軸にインテリアを決めていくことで調和のとれたお部屋をつくることができます。②使う色は3色までにするお部屋が雑多で落ち着かない雰囲気になってしまう要因は「色を使いすぎている」ということが考えられます。そこで、たくさんの色は使わず「3色まで」にとどめることで、まとまりのあるコーディネートが出来上がります。カラーコーディネートの基本として、3色使いの配合は「ベースカラー(基調色):65%」「アソートカラー(配合色):25%」「アクセントカラー(強調色):10%」です。上の画像の場合、カラーの配合は下記の通り。ベースカラー(基調色) = ホワイトアソートカラー(配合色) = グレーアクセントカラー(強調色) = ブルーベースカラーは一番大きな面積を締める部分。お部屋の床や壁はもちろん、リビングであればソファやラグ、カーテンなどが挙げられます。アソートカラーは二番目に割合の多い部分なので、リビングテーブルやキャビネットなど。そして、アクセントカラーは、クッションやインテリア雑貨といった部分に取り入れるとバランスが取りやすいでしょう。これを念頭に置きながらインテリアを選ぶことで、統一感のあるコーディネートに仕上がります。③お部屋のテイストを決める弊社事例お部屋に置いているインテリアのテイストが定まっていないと、なんだかまとまりのない印象を与えてしまいますよね。ナチュラルテイストやヴィンテージテイスト、モダンテイストなど自分がしたいテイストを決めておくことも大事なポイント。たとえば、こちらの弊社事例のオフィス。家具の色がブラウン、オレンジ、イエローとバラバラにもかかわらず、おしゃれな空間にコーディネートすることができました。その理由は「かっこよくて遊び心がある」「素材はなるべく本物にこだわる」というようにテーマがはっきりと決まっていたから。この軸を基準として商品選定を行っているので、世界観が統一されたかっこいいお部屋に仕上がっているんですね。弊社事例こちらの弊社事例も、キャメルカラーのソファにブラックカラーのサイドテーブル、ダイニングはナチュラルな木製テーブル...と、家具の色をバラバラに配置しています。弊社事例チェアもあえて別のデザインをチョイスして、こなれた雰囲気に。それでも空間の色味は3色までに抑え、「都会的×カジュアル」というテーマのもとコーディネートを行っているので空間全体に統一感が生まれています。④木目や素材を合わせる家具の色がバラバラでも木目や素材を揃えるだけで統一感はぐんとアップします。色だけでなくデザインが違っても同じ木製や木目調のものを選んだり、レザーのものを選んだり...と「共通する要素」があることで喧嘩せず、うまく調和してくれるのでおすすめです。⑤柄物は1種類だけにする柄物はひとつだけでパッと目を引くような存在感があるインテリア。そのため異なる柄物を多用してしまうとゴチャついた印象になり、落ち着いて過ごせないお部屋になってしまいます。使う柄物は1種類にしておきましょう。ソファにチェック柄を取り入れたならベッドリネンにも同じチェック柄を、ストライプ柄であればストライプ柄を...といったように、空間に取り入れる柄物は1種類で統一しましょう。 ⑥家具の高さを揃えるたとえばリビングにはソファやテーブル、キャビネットなど様々な種類の家具を設置しますよね。そのときに違う高さの家具をレイアウトすると、立体感が生まれてメリハリのついた空間になるというメリットもありますが上手に配置しないと凸凹としたバランスの悪いお部屋になる可能性も...。家具の高さを揃えることで、すっきりと整頓された印象を与えることができます。特に横並びに置いておくソファやチェアなどで実践すると、効果がとてもわかりやすいのでおすすめですよ。⑦生活感のあるものを隠すリビングや寝室などにある本や雑誌、キッチンにある洗剤や食品のストックなど日常でよく使うアイテムはカラフルで生活感や雑多な印象を与えてしまうものが多いですよね。もちろん暮らしに必要不可欠なものではありますがインテリアも楽しみたいのが悩みどころ。そこで収納家具を取り入れる際は、キャビネットなど扉のある家具を積極的に採用しましょう。扉の中に隠して収納することで生活感を軽減し、一気に雑多なイメージを解消できます。ただ、「いまの部屋には家具を増やすスペースがない」「持っているオープン収納を活かしたい」という場合は、カゴなどの収納アイテムを取り入れることがおすすめです。 収納家具のように扉がない分、取り出しやすくしまいやすいというメリットも備えています。⑧ラグを敷いて色の差を調和する弊社事例ラグをうまく使うということで統一感を出すテクニックもあります。たとえばソファの木目部分が明るいナチュラルカラーで、リビングテーブルがダークブラウンといった場合はどうしても木目部分の色のコントラストが強い印象に...。そこでソファとテーブルの中間くらいの色のラグを敷くとコントラストが軽減され、色の差を調和してくれるんです。このようにラグを上手に使えば空間の中で異なる色の家具がポツンと浮いてしまうといった心配がありません。⑨同じ素材のものはまとめて飾る「お気に入りのアイテムを玄関に飾りたい」「リビングや寝室のシェルフをおしゃれにディスプレイしたい」というとき。雑貨類は小さなものだからこそ、何も考えずに飾ってしまうと雑多な印象を与えかねません。せっかく気に入って選んだインテリアなのに、とてももったいないですよね。そんなときに意識することは木製、陶器、ガラスなど、「同じ素材のアイテム」を集めて飾るということだけ。たったこれだけで、まとまりのあるディスプレイを作ることができるんです。⑩「レピュテーション」のテクニックを使う弊社事例最後にご紹介するポイントは「レピュテーション」という方法。あまり聞き馴染みのない言葉かもしれませんが「レピュテーション=繰り返す」という意味です。同じ素材や形、色のインテリアアイテムを繰り返し使ってコーディネートすることによって統一感を生み出すというテクニックなんです。たとえばこちらの弊社事例のリビングダイニング。ダイニングテーブルは明るいナチュラルカラー、ピアノはホワイト、テレビボードはダイニングよりも少し濃い色味のものを選んでいます。弊社事例ただ、空間全体にまとまりのある雰囲気を感じるのは、鉢カバーやテーブルマット、フラワーベースなどに「シーグラス」や「ラタン」といった自然素材のアイテムを散りばめているから。それに加えてベースカラーはベージュアソートカラーはホワイトアクセントカラーはブルーというように空間のカラー配色はしっかりと3色に抑えてコーディネートしています。このようにレピュテーションのテクニックや基本のポイントを用いて統一感がありおしゃれな空間を生み出しています。統一感を生み出すポイントを押さえて、コーディネートを楽しみましょう家具の色がバラバラでも統一感を出し、おしゃれなお部屋にするポイントについてお話しました。今回ご紹介したポイントは下記の10つです。主役の家具を決める使う色は3色までにするお部屋のテイストを決める木目や素材を合わせる柄物は1種類だけにする家具の高さを揃える生活感のあるものを隠すラグを敷いて色の差を調和する同じ素材のものはまとめて飾る「レピュテーション」のテクニックを使う「いまお部屋にある家具と欲しい家具の色が違う」というだけで憧れの家具を諦めるのはとてももったいないことです。ぜひ今回ご紹介したポイントを押さえて、ぐんと垢抜けたインテリアコーディネートを楽しんでくださいね。