「5000万円の住宅ローンを組みたいけど、今の年収で融資してもらえるのかな?」「住宅ローンを組む前に考えておくべき点は何だろう」と、お悩みの方も多いのではないでしょうか。自分の希望通りの物件に出会い、新生活を想像するのは楽しいですよね。しかし、購入の際に避けては通れない住宅ローン。高額かつ長期に渡り返済するものなので、慎重に考える必要があります。国土交通省の「令和2年度 住宅市場動向調査」によると、三大都市圏での土地付き注文住宅の購入価格の平均は5359万円、「分譲マンション」では4639万円で、5000万円超えの住宅ローンも特別なことではありません。よってこの記事では、5000万円の住宅ローンを組む際の注意点年収の目安毎月の返済額の目安無理なく返済するためのコツについて解説します。この記事を読むと、「5000万円の住宅ローンを組む際に知っておきたいこと」が分かります。ぜひ最後までお読みください!関連記事:【インテリアコーディネートの依頼・相談】事例・費用相場・流れ・サービス内容について解説します【5000万円の住宅ローン】を組む前に注意しておきたい4つのポイント住宅ローンを組むことで、自己資金では手に入らない金額の住宅を購入でき、物件選択の幅が広がります。しかし、ローンはつまり借金。高額であればリスクもあるのです。ここからは、5000万円の住宅ローンを組む前に注意しておきたいことを解説します。1、変動金利は金利上昇の可能性がある住宅ローンの金利には「固定金利」と「変動金利」の2種類があります。固定金利は利率が一定なので、毎月の支払額に変動がなく完済の見通しが立てやすいのがメリットです。なお、現在は変動金利に比べて固定金利の方が金利が高いため、住宅ローン利用者は変動金利を選ぶケースが多いのが実情です。ただ、変動金利は金利が上昇する可能性も頭に入れておかなければなりません。変動金利は半年ごとに金利が見直されますが、月々の支払額が変更になるのは5年ごと(5年ルール)です。とはいえ金利が上昇した場合でも、これまでの1.25倍以上の返済額にできない決まり(1.25倍ルール)があるため、大幅に月々の返済額は上がることはありません。しかし、5年ルールや1.25倍ルールにより月々の返済額は変わらなくても、総支払額は増額になる可能性があります。金利が上昇すると、月々の返済額の内訳は利息部分が大きくなるため、元本部分の支払い額は少なくなります。そのため元本がなかなか減らないため利息も膨らみ、借入期間中に支払いが終わらない場合も。そうなると最後に残額を一括で支払うケースもあることも覚えておきましょう。2、生活の変化による収入や支出の変化も考慮する住宅ローンの返済期間中、ずっと同じ収入であるとは限りません。病気やケガで休業せざるを得なくなってしまったり、業績悪化や転職で給与やボーナスが下がってしまったり、予期せぬ事態が起こり収入減少となる可能性があります。そして、もし子どもが増えたら教育費と養育費がかかります。子どもが未就学児のとき支出はまだ控え目ですが、小学生以降は学費や習い事、塾の月謝などで支出増になります。長期的な目で収入と支出のバランスを考え、ローンを組みましょう。また、住宅ローンは「収入合算」や「ペアローン」を利用するケースが多くあります。収入合算とは夫婦2人の収入を合算した金額で1つの住宅ローンを組む方法で、ペアローンは夫婦それぞれが住宅ローンを組み返済する方法です。例えば5000万円のペアローンなら、夫3000万円、妻2000万円というふうに夫と妻が独立してローンを組みます。収入合算やペアローンは1人では借りられない額の住宅ローンを組めるのがメリットです。しかし、子育てや病気によるキャリアの中断や、正社員からパートになるなどによって、世帯収入が下がることも。ペアローンは夫婦が別々にローンを組み、お互いに連帯保証人になるケースがほとんどです。どちらかの収入が減少し返済不能となると、夫か妻がその分を負担します。収入が下がっても、毎月同じ額を返済しなければならないことに注意しましょう。3、返済額以外の諸費用や維持費を計算しておく住居の購入額以外にも、仲介手数料などの諸費用、家のメンテナンス費用などの維持費がかかることに注意が必要です。■諸費用の目安新築マンション:物件価格の3〜5%程度建売住宅や中古住宅:物件価格の6〜8%程度注文住宅:土地・建物の総額の10〜12%程度諸費用は物件購入時やローンを組む際に必要となるので、準備しておきましょう。以下が維持費、諸費用の内訳になります。■諸費用の内訳■維持費の内訳4、住宅ローンの開始が40代での35年ローンは危険老後の生活を考えると、定年までの住宅ローン完済が理想です。もし45歳で35年ローンを組むと、完済時は80歳になります。65歳で定年退職すると考えると、80歳までの15年間は収入がなくなるため、退職金や貯蓄から返済金を捻出しなければなりません。高齢になると病気のリスクが高まり、医療費や介護にかかる費用の増加も見込まれます。そのようなときに、蓄えを取り崩していくのは不安なものです。老後の安心のために、40代からの住宅ローンは頭金を多く支払うなど、できるだけ早めに返済できるプランを練りましょう。住宅ローンを5000万円で組む際の年収の目安結論から言うと、5000万円の住宅ローンを無理なく返済できる年収の目安は「850万円」以上です。考え方の根拠として「返済負担率」と「年収倍率」の2つがあります。返済負担率とは「額面年収に対して年間返済額が占める割合」で、一般的に25%以内に収めると、無理なく返済できるとされています。5000万円借入した場合の返済負担率は以下の表のとおりです。※フラット35、35年ローン、金利1.5%、元利均等返済の条件で計算年収が750万円以上あれば返済負担率が25%以内に収まることがわかります。また、一般的に借入金額は年収の5〜6倍に収めるとよいとされています。この年収倍率の観点から計算すると、5000万円を借りれるための必要な年収は「833〜1000万円」です。なお「2020年度フラット35利用者調査」によると、年収倍率は全国平均で「土地付き注文住宅7.4倍」「新築マンション7.0倍」「建売住宅6.8倍」となっており、実態は5~6倍よりも少し高めとなっています。よって年収850万円以上あれば、返済負担率と年収倍率の2つの基準を満たしており、無理なく返済できると言えるでしょう。5000万円の住宅ローンを組んだら毎月の返済はどうなる?長年支払い続ける住宅ローン、月々どのぐらいの返済額なのか気になりますよね。ここからは借入期間ごと、金利別ごとに具体的な毎月の返済額を見ていきましょう。借入期間別の返済額の比較下記に借入期間別の毎月の返済額をまとめました。※フラット35、35年ローン、金利1.5%、元利均等返済の条件で計算借入期間が長ければ長いほど、毎月の負担は軽くなりますが、総返済額は多くなるのがわかります。35年の借入期間だと、利息はなんと1430万円に。また借入期間が30年と35年を比較すると、たった5年の違いですが利息は200万円以上増えてしまいます。高額な住宅ローンにおいて、利息は軽視できません。総支払額を抑えるために、資金に余裕ができたら住宅ローンの返済に充てましょう。金利別の返済額の比較下記は、変動金利0.5%と固定金利1.5%で毎月の返済額と総返済額を比較した表です。※35年ローン、元利均等返済の条件で計算※金利の変動がなかった場合として計算固定金利の方が毎月の返済額は2万4千円上がり、利息は452万円から1430万円と3倍以上になります。1%の金利の差ですが、35年もの積み重ねで金額には大きな開きが出ています。また、下記の表は、変動金利型・固定金利期間選択型(10年)・固定金利期間選択型(3年)の過去38年の金利変動の推移です。出典:住宅金融支援機構「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」※この表の金利は「基準金利」(銀行の店頭に表示される金利)です。実際にローンを組む際は、基準金利から銀行のキャンペーンなどで割引をした「適用金利」になります。変動金利型は、1987年から1991年にかけて金利が4.9%から8.5%に急激な上昇をしています。その後バブル崩壊の1991年から下落し続け、1995年に2%台にまで下がりました。以降は多少の上下はあるものの2%台をキープし、ここ10年超の変動金利型の金利は2.475%と変化していません。10年固定型、3年固定型も多少の変化がありますが、ほぼ横ばい状態です。現在は超低金利時代と呼ばれており、変動金利を選ぶ人が多くなっています。ちなみに、住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査(2021年10月調査)」によると、変動金利を選んだ人は全体の67.4%、全期間固定型は10.9%、固定期間選択型が21.7%です。現在は一定して低金利ですが、10年20年とずっと金利が変わらないのは現実的ではありません。変動金利を選ぶ方は、こまめに金利のチェックを行いましょう。5000万円の住宅ローンを無理なく返済するためのコツ支出の多くを占める住宅ローン、毎月の支払いが少しでも楽になればいいですよね。ここからは住宅ローンを無理なく返済するためのコツをご説明します。頭金を支払えば金利優遇などのメリットがある頭金とは、物件価格から住宅ローンの借入金を引いた金額を指します。例えば、5500万円の物件で5000万円のローンを組めば、頭金は500万円です。実際の頭金支払額の平均を見てみましょう。「2020年度フラット35利用者調査」によると手持金(頭金)の平均額と、資金調達内訳のうちの手持金(頭金)の割合は以下のとおりです。物件種別によって差がありますが、平均して物件価格の10〜20%の額の頭金を支払っており、1つの指標としてよいでしょう。頭金を多く支払うことで借入金が少なくなるため、毎月の支払額を抑えられるメリットがあるほかに、金融機関によっては金利の優遇が受けられるメリットもあります。住宅金融支援機構の「フラット35」では、物件価格の10%以上の頭金を用意した場合には、金利が低くなります。金利が低くなれば総返済額が少なくなるので、その分計画的に返済できるでしょう。余裕ができたら繰り上げ返済を行うもし、臨時収入や貯蓄などで資金に余裕ができたら、繰り上げ返済を行うとよいでしょう。繰り上げ返済金は元本に充てられるので、その分の利息を節約できるメリットがあります。繰り上げ返済には、期日短縮型と期日据置型があります。期日短縮型は毎月の返済額を変えずに返済期間を短縮する返済方法で、期日据置型は毎月の返済額を減らし、返済期間は予定通りのままにする返済方法です。期日据置型は毎月の返済が楽になりますが、期日短縮型の方が総返済額は少なくなります。なお、繰り上げ返済を行うと手元の資金が減少します。教育資金や老後資金など出費が増える時期を見定め、どのタイミングで行うか考慮した上で計画的に行いましょう。まとめ5000万円の住宅ローンは、金利上昇の可能性やライフプラン、諸費用や諸経費、融資開始の年齢に注意して組む必要があります。また無理なく返済できる年収の目安は850万円以上です。しかし、頭金を多く払うと低い年収でも希望額を融資してくれる可能性が高まります。また、余裕ができれば繰り上げ返済を行うと、将来的にも安心でしょう。